大分県立杵築高等学校3年
プラスチックを飲み込んで死んでしまう海洋生物を守るためには何ができるか

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学校・学年
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高等学校
大分県立杵築高等学校
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発表形式
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レポート・論文
先生のアウトプット
- 実践の背景
- プラスチックを飲み込んで死んでしまう海洋生物を守るために、私にできることを考えた結果、海洋生物の胃で消化できるタンパク質から生分解性プラスチックを作れば、海洋生物がプラスチックを誤飲してしまっても消化できるので、脂肪分の異なる牛乳と豆乳から実際に生分解性プラスチックを作ってみた。
生徒のアウトプット
- 実践の背景
- 近年、海に漂うゴミが増え続けており、マイクロプラスチックや海洋生物のプラスチックの誤飲が問題になってきている。そんな中、クジラやウミガメがプラスチックを大量に飲み込み、窒息死やプラスチック餓死していることを知った。私は海洋生物の中でも特にクジラ類やウミガメが好きなので、このようなプラスチックを飲み込んで死んでしまう海洋生物を救うために
自分に何かできないかと考え、今回の研究テーマを「プラスチックを飲み込んで死んでしまう海洋生物を守るために何ができるか」に決めた。海洋生物を救うために、海洋生物の体内で分解されるプラスチックを作るということを考えた。プラスチックを飲み込んで死んでしまった海洋生物の胃から大量のプラスチックが見つかったという記事を見た。胃では、タンパク質が胃酸の中のペプシンという酵素によって分解される。また、プラスチックについて調べていく中で、「生分解性プラスチック」にたどり着いた。生分解性プラスチックとは、単にプラスチックがバラバラになることではなく、微生物の働きにより、分子レベルまで分解し、最終的には水と二酸化炭素となって自然界へ循環することができるプラスチックのことである。この生分解性プラスチックなら、海洋生物の体内で分解することができると考えた。そこで、牛乳(タンパク質)や豆乳(タンパク質)から生分解性プラスチックを実際に作ってみることにした。 - 調査・研究内容
- 〇材料
脂肪分2.0%の牛乳、脂肪分3.5%の牛乳、豆乳100ミリリットルずつ 酢
〇器具
耐熱グラス、スプーン(かき混ぜる用) 、電子レンジ、オーブンミトン、ガーゼ、クッキングペーパー、クッキー用の抜き型、耐熱皿
〇実験方法
1.脂肪分2.0%の牛乳を耐熱グラスに入れて、電子レンジを使って沸騰させ、塊ができるまで酢を1滴ずつ加えながらスプーンで混ぜる。
2.もう一つの耐熱グラスにガーゼを敷き、1の牛乳の塊をこし取り、ガーゼに包んだまま3分間流水で洗う。
3.2のガーゼから塊を取り出し、クッキングペーパーで水気を取る。
4.3の塊を成形し、クッキー用の抜き型で型を取る。
5.4でできた塊を耐熱皿に並べて、1分間電子レンジで加熱する
6.5の加熱を10回繰り返す。
1~6の作業を脂肪分3.5%の牛乳、豆乳でも同様に行う。
↓実験方法4での脂肪分2.0%(上)、脂肪分3.5%(右下)、豆乳(左下)
↓実験方法6の後での脂肪分2.0%(上)、脂肪分3.5%(右下)、豆乳(左下)
・脂肪分2.0%の牛乳は、出来上がったプラスチックの量が最も少なかった。出来上がったプラスチックは、焦げて焦茶色っぽくなり、耐熱皿から取れなかった。
・脂肪分3.5%の牛乳は、出来上がったプラスチックは最も水分が蒸発しにくかった。出来上がったプラスチックは、上の方は白いままだったが、下の方は茶色く焦げて、耐熱皿から取れなかった。
・豆乳は、出来上がったプラスチックの量が最も多かった。出来上がったプラスチックは、黄色っぽくなり、耐熱皿から取れた。
三つのプラスチックとも、触ってみると硬かった。 - 結論
- この実験から、牛乳は、焦げやすく、くっついて固まりやすいこと、豆乳は、焦げにくく、くっつきにくく、たくさんの量を作れることがわかった。このことから、プラスチックが大量に必要な時は、牛乳を使って生分解性プラスチックを作るより、豆乳を使って作ったほうが良いと考えた。プラスチックをより低温で作りたい時には、豆乳を使って生分解性プラスチックを作るより、牛乳で作ったほうが良いと考えた。
- 今後の課題
- 近年では、学校給食の牛乳が大量に廃棄されている。この廃棄されている牛乳を使って生分解性プラスチックを作ることで、食品ロス、海洋生物のプラスチックの誤飲などの問題を軽減することができるのではないかと考えた。今後の課題は、そもそも人間がプラスチックゴミを河川や海洋に廃棄すること自体が問題だと思うので、例えば、ペットボトル一本をリサイクルボックスに入れると何円か貰えるなどのゴミを適切に捨てることで正しいことをした人が得をするようなシステムを作って、プラスチックゴミを自然界に出さないことが大切だと思う。また、タンパク質から作った生分解性プラスチックを使うことで、海洋生物をプラスチックゴミによる絶滅の危機から救い、本来あるべき姿の海に戻していくことも大切だと考える。私は、今、海に漂うプラスチックゴミや、これから海に出されるプラスチックゴミを少しでも減らし、無くすために、ゴミを適切に捨てるシステムを考えたり、日頃からゴミをゴミ箱に捨てたり、生分解性プラスチックの活用方法を考えたりしても、海洋生物と関わっていきたい。
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