大分県立久住高原農業高等学校
自然薯のパイプ栽培における生育調査~うねの高さと、パイプ内の土の違い~
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学校・学年
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高等学校
大分県立久住高原農業高等学校
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発表形式
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レポート・論文
研究の概要
自然薯のパイプ栽培で課題となっている土壌水分過多による褐色腐敗病の発生を防ぐため、畝の高さとパイプ内に挿入する培土の種類・配合が、病害の発生と品質に与える影響を調査し、その結果の検証に取り組んだもの。
生徒のアウトプット
- 実践の背景
- 昨年の自然薯パイプ栽培で、褐色腐敗病が発生していた。原因は、大雨によりうねが水没し土壌中の水分過多によるものと思われた。したがって、本年度はその検証として、うねを高くすることとした。また、パイプ内の通常使用する真砂土、赤土のみでなく、久住地区で見られる黒ボク土(ほ場の土)で栽培をすることで商品としての価値、褐色腐敗病の発生について違いはあるのかと思い、自然薯栽培を行うこととした。
- 調査・研究内容
- 研究計画
5月 ・・・ 自然薯の定植
6月 ・・・ 調査・観察
7月 ・・・ 調査・観察
8月 ・・・ 調査・観察
9月 ・・・ 調査・観察
10月 ・・・ 収穫
11月 ・・・ 2回目収穫・調査
12月 ・・・ まとめ
1月 ・・・ 学習成果発表会
研究経過
5月29日 パイプ土入れ、パイプ埋設•定植(真砂土+赤土20本、赤土20本、黒ボク土20本)
6月19日 自然薯のつると葉の枚数の調査
6月26日 自然薯のつると葉の枚数の調査
7月 3日 自然薯のつると葉の枚数の調査
11月 6日 自然薯の収穫(1回目)
11月18日 自然薯の収穫(2回目)
11月25日 食味調査(1回目)
12月18日 食味調査(2回目)
結果
☆本年度は、うね(パイプ)の水没が起こらなかった。
▽土の違いによる 褐色腐敗病の有無について
・どのパイプ内においても、褐色腐敗病の発生が見られなかった。
オリジナル(真砂土+赤土) 赤 土 黒ボク土(ほ場の土)
無 し 無 し 無 し
▽土の違いによる 収穫し水洗いをした後の見た目について
・少し表面が黒いかなと思う程度であり、土の違いによる自然薯の表面の色は特に大きな違いは無かった。
オリジナル(真砂土+赤土) 赤 土 黒ボク土(ほ場の土)
薄い土色(茶色) 薄い土色(茶色) 少し黒っぽい
▽自然薯の可食部の色:皮をむくと同じ白さであった。
▽食味調査【自然薯と市販の長いも】2回実施;被験者 計35人(生徒、教員)
粘り気 水 分 風 味 その他
ある 32 多い 4 ある 30 ・味が濃く、粘りも強かった
自然薯 ・少し甘みがある
ない 3 少ない 31 ない 5
ある 13 多い 29 ある 8 ・水分が多く、味も薄い
長いも ・粘りもさらさら感じた
ない 22 少ない 6 ない 27
・粘りけはどちらにもあったが、長いもは粘りが弱く、パイプ自然薯の方が粘りは強く感じた。水分に関しても、長いもの方が多く感じた。 - 結論
- 考察及びまとめ
①畑の消毒をしていなかった為、褐色腐敗病は発生すると予想していた。しかし、褐色腐敗病の発生は見られなかった。昨年、褐色腐敗病が発生したのは、水分によるものだと考えられる。また、今年は昨年より大雨が少なかったことと、うねを高くしたことでパイプが水没することがなかった。この理由により、褐色腐敗病は発生しなかったと考えられる。
② 自然薯に新生児の手首のようなくびれができていた。これは、急激な水分、肥料の吸収による発生など、水分、肥料が関係すると考えられる。また、今年度はうねの天頂に対して平にパイプを埋めた。このことにより、根が重力の方向を感じ地中に向かって下へ生長しようとする重力屈性を妨げ、タイミングによりくびれが出来たとも考えられる。よって、定植時にパイプを埋める角度が足りなかったと考えられる。
③ パイプからはみ出し生長している自然薯が60本中5本あった。パイプ内で自然薯が分岐して小さく生長していた。これは、芽出しの時期が遅れたことにより、定植が遅れた。また、定植時のパイプの埋設角度が足りなかったと考えられる。
④ 黒ボク土(ほ場の土)でのパイプ栽培自然薯は、収穫後水洗いをすると少し表皮が黒っぽいかなと感じたが、見た目は悪くない。皮をむけば可食部の色は白く、他の栽培方法のものと変わりはない。よって、黒ボク土(ほ場の土)での栽培でも良いのではないかと考えられる。 - 今後の課題
- ・芽出しの時期を考える。
・パイプ埋設角度について、研究の継続。
・今回、黒ボク土(ほ場の土)を使いパイプ栽培を行った。パイプの中に土を入れたり、パイプを土の中に埋めたりと大変だが家庭菜園で少し広い場所があれば、家庭でも栽培できると思った。
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