大分県立情報科学高等学校
リアルなバーチャルカンパニー
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学校・学年
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高等学校
大分県立情報科学高等学校
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発表形式
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スライド
研究の概要
本校と提携している株式会社オートバックスセブンとの活動の中で学んだ「アイデアソン」という思考ツールを使い、商業科と工業科それぞれの特色を活かして仮想現実(リアルでありバーチャルである)な会社を設立し、その活動を通して学んだことの発表資料である。「IoT活用をごみ問題解決の糸口にする。」といった内容である。
生徒のアウトプット
- 実践の背景
- 私たちは「バーチャルカンパニー」として模擬会社を立ち上げました。情報科学高校には2つの学科があります。私たち工業科が得意なものづくりと、商業科が得意な商談や市場調査といったマーケティングを融合して会社を起業できないかと考えました。社長や副社長、営業部長、技術開発部長、経営戦略部長などをそれぞれが担当し、スタートさせました。
- 調査・研究内容
- 思いつきの起業ではなく、これから何年も続けていくために、そして社会に貢献できる会社づくりを目指すためにディスカッションを繰り返していきました。設立の目的や事業の内容はご覧の通りです。企業理念も決定しました。会社名は「マイナーズ」です。
製品開発にあたってはまずペルソナを決定します。「ペルソナ」とは、対象とするユーザー像のことで、マーケティングにおいて活用される考えです。実際にその人物が実在しているかのように、年齢、性別、居住地、職業などリアリティのある詳細な情報を設定していきます。商業施設のゴミ箱は定期的な回収を行ってますが、回収場所も多く回収の必要のない場所なども含めて、全てのゴミ箱を回る必要があります。回収する人はゴミの回収について効率の悪さを感じていることから、私たちはそれらを解消する製品の開発に取り組みました。それが「既存のゴミ箱にワンタッチで簡単装着。ゴミがあふれる前に回収のタイミングを教えてくれるアタッチメント」です。ゴミ箱のふたに超音波センサーを取り付けます。そのセンサーが感じる距離によってゴミの量を判別します。ある程度溜まったと判断したら、どのくらい溜まっているかをメールで通知します。これにより、ゴミの回収を促すというものです。私たちの開発した製品は、ゴミを察知することやみんなを幸せにすることから「さっちくん」と名づけました。
開発製品の実証実験
最初の実験場所として設置したのは職員室のゴミ箱です。期間は約1ヶ月です。検証結果は正常稼働が認められました。そこで、商業施設での本格サービス化を目指し、パークプレイス大分様において実証実験を行いました。本格的な実証実験は、パークプレイス大分様に加え、ゴミ箱の形状が変わっても対応できることを確認するために、県庁別館にも設置しました。 - 結論
- アンケート結果
①本体の不具合はなく、機能は正常に稼働したこと。
②ゴミの少ないところや回収の訪問の機会の少ない場所においては効果があると感じていること。
③ゴミを投入した時の音声について、「子どもが声が聞きたいために何度もゴミを捨てる姿があり微笑ましく感じた」との回答から、商業施設でのエンターテイメント性も感じたこと
④高い総合評価をいただいたこと
以上のことから私たちが立てた仮説が立証できたと判断します。
一方で、完成に向けては、より詳細なデータを取り改良を重ねる必要性も感じました。
私たちがこの活動を通じて学んだことは、プログラム設定のトライアンドエラーを繰り返す過程の大切さでした。また、様々な障害や環境の変化に対応するために、どの様にモジュールを組み替えるかについて臨機応変な対応についても学ぶことができました。さらには商業科の生徒と一緒になって取り組むことで、単なるものづくりではなく、売れる製品としてのものづくりや対外的な折衝の方法についても学ぶことができました。
私たちは、会社として起業をしました。そこにはしっかりとした理念が必要であり、それがものづくりにもつながっていきます。「作りたいものを作る」ではなく、その先にある消費者を意識したものづくりが大切であることも学ぶことができました。
- 今後の課題
- 今後この製品はコメントに占いやお天気情報さらには商業施設のお得情報などのエンターテイメント機能を充実させることや製造コストの削減また完全屋外対応製品として進化させていくつもりです。株式会社マイナーズは後輩へと引き継がれていきます。私たちもOBとしてこれからもマイナーズを支え続けていきます。
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