大分県立大分南高等学校3年
吸水性高分子の性質〜物質の性質を客観的に伝えよう〜
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使用したICT機器
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[機器]
タブレットプロジェクタ
[教師が使用したツール]
デジタルソフト学習支援ソフト [生徒が使用したツール]
デジタルソフト学習支援ソフト動画編集ソフトウェア動画
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学校・学年
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高等学校
大分県立大分南高等学校 3年
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教科
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理科(化学)
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授業の内容
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本題は探究活動として実施し,「機能性高分子」「性質を利用した実験を行う」「性質を客観的に伝える」という簡単な項目を教師が提示し,生徒はそれに基づいて実験計画を立て,実験動画とレポートの作成を行った。本題材では,機能性高分子としておむつから取り出した吸水性高分子を取り扱ったが,種類が多いためすべての種類を一つの班で実験することが困難であった。そのため,異なるおむつで実験をした班とOneDrive上で実験結果を共有し,クラス全体が共同実験者となる方法で実験を行った。
予想される生徒の実験レポートは,①吸水性高分子の説明,②給水実験,③吸水率の定義,④給水率の計算,⑤吸水後の高分子の扱い(廃棄の方法や注意点),の5段階と予測された。吸水性高分子の説明では,吸水の模式図や架橋にも触れる生徒がおり,実験操作以外でも意欲的な活動が顕著であった。
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ICT活用のポイント
(工夫したところ、苦労したところ 、成果、課題) -
【成果】
・本題材では,メーカー,サイズ(S,M,L),形態(テープタイプ,パンツタイプ),使用時期(乳児期,幼児期,トイレトレーニング期など)の異なるおむつを準備し,どれを実験に用いるかの選択肢を多くした。したがって,実験に用いるおむつの種類をどう決めるかで活発な意見交換が行われていた。おむつを(本人の記憶の中では)初めて触る生徒も多く,実験材料に興味を持ちWebで検索する姿が印象的であった。
・客観的に説明することはどういうことかを共同実験者と議論し,詳細な説明文よりも写真,写真よりも数値,というように,考えが変わっていく生徒が多かった。
・レポートは段階④まではどの生徒も到達できたが,実験中に共同実験者との対話から段階②を深める生徒が多かった。例えば,吸水性高分子に吸水させる液体を,同じ溶質で温度を変えたもの,温度一定で溶質を変えたものなど,学習を自己調整して実験計画を立てる班が多くあった。また,メーカーの違いや,使用時期(乳児期とトイレトレーニング期など)の違いによる給水実験を行い,その性質の差を検討する班もあった。
【課題】
・おむつから吸水性高分子を揉み出すとき,一緒に出てくる綿と吸水性高分子の区別がつきにくいメーカもあった。あらかじめ,揉み出し方法や注意点などを動画にまとめてTeamsにアップロードし,視聴しながら取り組ませると良い。
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実践を終えての感想
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・実験動画とレポートはTeams課題でのオンライン提出とし,ルーブリックによる採点を行った。動画は生徒による相互評価も行った。ルーブリックを多くの教師の意見交換で作成すると,より良い評価につながる。
・クラス全体が共同実験者となるような実験計画の場合は,本来よくある「実験後にお互いのデータを見せ合う」ではクラスが混乱しデータの交換ミスが起きていたが,データで共有すると正確性が増し,実験後でも間違いを指摘したり,意見を交換したりすることができる利点があった。普段からOneDriveへデータを保存すること,共有したいデータのアクセス権設定の指導が十分行えていれば,OneDrive上でのデータ共有がよいが,そうでない場合は,MetaMoji ClassRooの授業ノート(クラス学習ページ)を用いるなど,指導の段階と生徒のスキルに応じて共有方法を使い分ける必要がある。
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