大分県立大分南高等学校3年

シャルルの法則の検証実験〜データの可視化と学習の自己調整力〜

使用したICT機器

[機器]
PCカメラプロジェクタ

[教師が使用したツール]
デジタルソフト学習支援ソフト
[生徒が使用したツール]
デジタルソフト学習支援ソフト動画編集ソフトウェア動画

学校・学年

高等学校
大分県立大分南高等学校 3年

教科

理科(化学)

参考資料

授業の内容

本校普通科 理Ⅰコース(私大,専門学校等希望者)で,提示された実験テーマと簡単な実験操作から生徒が共同実験者と操作や必要な器具を考え,実験動画とレポートにまとめる探求活動を行なった。実験動画はiMovieまたはCapCut, データ処理はExcel,レポートは指定された構成(目的,理論,実験器具,試薬,実験操作,結果,考察,謝辞,参考文献)でWordを使用し,Teams課題でのオンライン提出とした。
本題材で提示したのは「シャルルの法則」「シリンジの素材や容積は自分たちで決める」である。予想される学習段階は,①シリンジを用いて絶対温度Tと気体の体積Vの関係を測定する,②①の測定値をV-Tグラフにする,③測定値のV-Tグラフを外挿し絶対零度を求める,④誤差の検討,⑤誤差を極少にするための工夫,の5段階である。実験をしながらExcelでデータ処理をする班,共同実験者と既習事項を思い出しながら予想を立てる活動が活発な班ほど,より高い学習段階まで到達できた。

ICT活用のポイント
(工夫したところ、苦労したところ 、成果、課題)

・実験動画とレポートはTeams課題でのオンライン提出とし,ルーブリックによる採点を行った。動画は生徒による相互評価も行った。ルーブリックを多くの教師の意見交換で作成すると,より良い評価につながる。
・通常のメモと合わせてiPadでも実験を記録する場合,「必ずレポートに入れたい場面」「実験のハイライト」を絵コンテのように考えさせ,撮りたい場面を確定させる指導が実験前に必要である。そうすることで,実験の焦点が明確になり,今何をして次に何をすべきかと自分自身を俯瞰的に把握しやすくなる。自由に記録させると,ストレージの圧迫やデータ量が大きすぎてAirDrop困難などの小さなトラブルが多かった。

実践を終えての感想

【成果】
・ICTを用いることで「データの可視化」がスムーズになり,既習事項を思い出したり次にすべき活動を考えたりと,取り組むべき事項を明確にできる生徒が多かった。
(1)ICTを利用すると時間の短縮による議論時間の確保が可能:段階②グラフ作成,③外挿が早く済むため,段階④以降の議論が活発に行われていた。ICTを利用していない場合は,段階②,③に時間がかかり,V-Tグラフの完成に満足してレポートを終えてしまう傾向があった。
(2)実験とICTの利用(データ処理)を同時に行うと,測定不能範囲の予測が可能:段階①測定と②V-Tグラフ作成(Excel)が同時に行えるため,低温が作り出せないとわかった時点で,段階③V-Tグラフの外挿に気付くのが早かった。同時に利用していない班は,ー5℃以下の温度を作り出せないことに試行錯誤している時間が長かった。
【課題】
・測定値からグラフを作成する力は,生徒につけて欲しい力の一つである。そのグラフの作成を手書きで行うか,Excelのグラフ作成機能を利用するかは,議論の余地があるところだ。手書き,Excelのどちらで行うかは,生徒の学年や進路希望をもとに,グラフを書くねらい,書いたグラフをどう利用するかなどに応じて決める必要がある。
・卒業後に実験・実習レポートを書く場面が多くあると予測されるクラスであるため,基本構成を身につける指導も併せて行う必要があった。条件付きでWeb利用を可としたが,提示した条件①閲覧したサイトを参考文献としてレポートに正しい様式で記載する,②同じキーワードでヒットした複数のサイトを閲覧し,記載内容に差異がないか検討する,③同じ内容を教科書や雑誌などでも調べる,④提出後のレポートは剽窃チェックを実施する,のうち③が難しいようであった

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