大分県立三重総合高等学校3年

工業所有権(3) 商標権

使用したICT機器

[機器]
タブレット

[教師が使用したツール]
アンケートフォームデジタルコンテンツ
[生徒が使用したツール]
アンケートフォームデジタルコンテンツ

学校・学年

高等学校
大分県立三重総合高等学校 3年

教科

経済活動と法商業

授業の内容

はじめに、Teamsを利用してマンガ「鬼滅の刃」の市松模様を使った類似商品(いわゆる海賊版)が出回っている新聞記事を読ませた。次に、その商品が権利の侵害に当たるか考えさせ、formsのアンケート機能を用いて回答させた。その結果は次のとおりである。
 回答結果 ・「権利の侵害にあたる」と答えた生徒  100%  18名
      ・「権利の侵害にあたらない」と答えた生徒  0%   0名
 理  由 ・「鬼滅の刃」のパクリだから
      ・偽物によって出版社が迷惑するから
      ・色や模様が「鬼滅の刃」で用いられているものと同じだから
 そのように考えた理由をグループで発表した。生徒は全員「権利の侵害にあたる」と考えたが、実際は「鬼滅の刃」の出版元である集英社は商標出願に拒絶査定を受けている(商願2020-078058より)。その記事のリンクをTeamsに貼り、「いわゆる市松模様の一種と理解されるもので、その構成中に自他商品の識別力を有する部分を見出すことができない」という特許庁の見解を生徒に読ませた。
残った時間を使い、iPadを用いて様々な商標を調べさせ、スケッチさせた。

ICT活用のポイント
(工夫したところ、苦労したところ 、成果、課題)

今回の論点である商標権は、日常生活において馴染みがある部分である。しかし、商標を取り巻く経済的なトラブルや登録方法と話が広がると、途端に馴染みにくい部分になる。そこで、ICT機器を活用することで生徒に理解を促すと共に、調べ学習によって興味・関心を引き出すことに主眼を置いた。また、iPadで授業プリントをスクリーンに映し出すことで、生徒はスクリーンを見た通り手元のプリントに書き込むことができる。授業後には、書くのが追いつかなかった生徒や欠席した生徒のために、TeamsにPDFデータをアップロードしている。板書が苦手な生徒に配慮することで、ユニバーサルデザインの授業を作ることを目指した。

実践を終えての感想

授業全体を通して、iPadを用いることで視覚的な情報を得ながら、実社会において様々な商標があることを学べた点が良かった。そして、同業他社の類似商品を排除するために「商標権」や「差止請求」が存在するが、今回のケースにおいては日本の伝統的な市松模様であるため自他識別力要件を満たさないことも学ぶことができた。自他識別力要件は、教科書だけではわかりにくい論点だが、iPadを用いることで生徒全員が理解することができた。
生徒は、旬の話題を題材にすることで興味・関心を持って授業に臨み、さらには学習内容が実社会に繋がっていることを理解することができた。課題プリントを用いた事後評価では、学習意欲の向上と高い学習効果が見られた。iPadを用いた商標調べでは、生徒が主体的に学ぶ様子が見られた。
今後は、zoomやstreamを活用して、新型コロナウィルス感染症の対応等で出席することのできない生徒の授業補償にチャレンジしたい。また、現在は新型コロナウィルス感染症対策のため、従来型のグループ学習の実施には配慮が求められるため、MetaMoji ClassRoomを使うことで対話的な学びの充実を図りたい。

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