大分県立大分東高等学校
切り花アスター少量培地栽培の導入検討について
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学校・学年
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高等学校
大分県立大分東高等学校
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発表形式
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レポート・論文
研究の概要
栽培床土の少量化栽培方法を考え切り花の経費削減につながる研究。
生徒のアウトプット
- 実践の背景
- 本校での切り花栽培は急務課題である。しかし、草花も栽培場所と費用が限られているため、経費のかからないもので栽培して、販売を考えなければならない。そのため、栽培床土の少量化栽培方法を考え切り花の経費削減につながる研究に取り組むことを行えば、切り花生産の検討と根域の状況を調査する。
- 調査・研究内容
- 材料および方法
(1)供試品種
アスター(キク科) 品種名:松本特選混合
(2)試験期間
令和2年5月~令和2年12月
(3)試験場所
本試験 :令和2年9月25日 草花5号温室(発芽・管理・生育調査)
(4)試験区
用土 肥料
対照区:育苗トレイ 育苗トレー ロングトータル180(5g)
比較区:黒ポリポット 黒ポリポット ロングトータル180(5g)
(5)試験方法
一回目に播種したものを予備試験、二回目の生育調査に播種したものを本試験とし、毎週金曜日の実習時間に草丈と葉数を調査する。角と真ん中の苗を試験区として選ぶ。
(6)栽培管理概要(飼育管理概要)
ア栽培実施
栽培実施(作型及び主要管理) (調査期間 令和2年7月13日 ~令和2年12月23日)
月 旬 作型 主な作業内容
5 上 コロナにより休校 設置場所は温室1号室で栽培し、品種は松本品種を選定。
中 計画検討 25日にアスター予備試験の播種。
下 設置場所と栽培品種の選定・予備アスター播種
6 上 発芽勢と発芽率の予備調査 毎週月曜日に発芽率・発芽勢調査
中 予備調査
下 予備調査
7 上 予備調査 10日にアスター予備試験の鉢上げ。
中 予備鉢上げ・予備調査 毎週月曜日に草丈と葉数を調査
下 予備調査
8 上 予備調査・病害虫発生 毎週月曜日に草丈と葉数を調査。
中 予備調査 下旬に予備調査の収穫をし、根域、根長の調査
下 予備収穫
9 上 本試験アスター播種・発芽勢と発芽率の本調査 本試験用のアスター・スターチスの播種。
中 本調査鉢上げ・病害虫対策実施・本試験調査開始 中旬に本試験用の鉢上げ・ヨトウムシ対策
下 本調査 並びに本試験調査の開始
10 上 本調査
中 本調査 毎週金曜日に本試験の草丈・葉数調査。
下 本調査・ウイルス性の病気発見
11 上 本調査・病気の様子見
中 本調査・病気の様子見 毎週金曜日に本試験の草丈・葉数調査。
下 本調査
12 上 本調査 毎週金曜日に本試験の草丈・葉数調査。
中 本試験区収穫・収量調査 中旬に本試験の根域と花数と蕾数と全体の調査です。
下 課題論文のまとめ
1 上 課題論文のまとめ 毎週月曜日・金曜日に課題を論文にまとめました。
中 課題研究発表会
下 論文提出
イ植栽様式
種子量 畦幅×株間×条数 栽植本数
植栽様式 予備:288 予備:33cm×52.3cm×6.5cm 97本
(1a 当り) 本試験:288 本試験:33cm×52.3cm×6.5cm 160本
育苗トレイ:580mm×280mm×28cm 各16本
表1:植栽状況 (予備・本試験)
ウ 施肥実績 (アスター)
1育苗トレイ
施肥設計(当り) 単位:g
肥料名 総量 元肥 追肥 成分量
1回量 回数 総数 N P K
ロングトータル180 90g 5g 0 0 0 13 9 11
2黒ポリポット
施肥設計(当り) 単位:g
肥料名 総量 元肥 追肥 成分量
1回量 回数 総数 N P K
ロングトータル180 90g 5g 0 0 0 13 9 11
*ロングトータルとは、主成分が窒素であり、土壌PH及び土壌水分の影響をほとんど受けない。
肥効が持続するため、元肥だけの栽培が可能である。
エ 病害虫防除実績
病害虫防除対策
病害虫名 症状及び発生原因 防除対策
ヨトウムシ 葉脈を残してほとんど葉を食べ尽してしまう。 殺虫剤 オルトランを
夏の時期に発生し、温度の高い年は特に発生が多いです。 1ポット5gで散布しました。
オ 防除実績
月日 対象病害虫 農薬名 施肥ポット
9月25日 ヨトウムシ 殺虫剤 オルトラン 一株 5g
オルトランは浸透移行性をもつ優れた殺虫剤です。
コナガ、ヨトウムシなどのそしゃく性害虫から、アブラムシ類、アザミウマ類などの吸汁性害虫まで幅広く効果を示します。
カ 活動実績
5月25日 農場管理室の中 播種・5号温室の奥 調査開始 1回目
6月29日 5号温室の前 鉢上げ 1回目
9月4日 農場管理室の前 播種 2回目
9月7日 農場管理室の前 調査開始 2回目
9月11日 5号温室の奥 収穫調査 1回目
9月14日 5号温室の奥 鉢上げ 2回目
12月7日 5号温室の奥 収穫調査 2回目 - 結論
- 文献調査
栽培品種について、調査を行いました。
アスター
ア.品種
学名 Callistephus chinensis Nees
和名/別名エゾギク、サツマギク
英名 China aster
原産地/生産地中国北部
分類キク科エゾギク(カリステファス)属
発芽地温 20°C前後
イ.特徴
花径5センチほどで、暑い夏でも花もちがよく、お盆の花として人気の花です。耐暑性だけでなく、暖かい地域では秋植えにして翌年の初夏に咲かすこともできる。肥沃で日当たりと水はけがよい土を好み、完熟堆肥や腐葉土を多くすき込んだ場所で栽培する。ただし、連作ができないので、注意が必要である。
生育調査 9 月 25 日
1本実験 9 月 25 日播種分 草丈
トレイ1・2ともに、生育差はあまり見られなかった。
グラフ1:育苗トレイ草丈生育状況(令和2年)
グラフ2:令和元年の記録
令和元年のグラフと比較してみると、今年度は緩やかに成長している。
グラフ3:黒ポリポット草丈生育状況(令和2年)
ポットの生育状況として、成長は緩やかで、育苗トレイと同じように、生育差はでなかった。
グラフ4:令和元年 7 月 26 日播種日の記録
令和元年の記録と比較してみると、今年度はすべて均一に成長している。
2本実験 9月25日播種分 葉数
トレイ2の方が、日当たりがよく、葉数の変化が大きい。
トレイ1は、日陰になることが多かったため、葉数の変化が少ない。
グラフ5:育苗トレイ葉数生育状況(令和2年)
グラフ6:令和元年 7 月 19 日播種日の記録
令和元年の記録と比較してみると、同じような変化だった。
グラフ7:黒ポリポット葉数生育状況(令和2年)
ポットは、最初は同じぐらいだったが、だんだん増えていった。
グラフ8:令和元年 7 月 19 日播種日の記録
令和元年の記録と比較してみると、急激な変化は見られなかった。
下の表は、育苗トレイと黒ポリポットでの草丈、育苗トレイと黒ポリポットでの葉数のそれぞれの平均をまとめた表である。
グラフ9:アスター草丈平均(令和2年)
草丈では、一番日当たりのいい所に置いていたポット5が生育が良かった。
逆に、日当たりの悪いところに置いていたポット2と3の生育が悪く、ポット5以外のポットも、どれも同じような成長をした。
グラフ10:アスター葉数平均(令和2年)
葉数は、どれも同じように成長しているが、ポット4とトレイ2は生育が良い。
また、ポット2の生育が悪く、調査区が一つ消えていたのも原因と考えられる。
グラフ11:育苗トレイ・黒ポリポットそれぞれの草丈平均
草丈は、どちらも同じように緩やかな成長をしていて、あまり変化は無かった。
平均ではグラフのような結果となったが、平均を出さない状態の記録を見ると、トレイの方の草丈は低くなっている。
切り花として使用するならば、ポットの方がよさそう。
グラフ12:育苗トレイ・黒ポリポットそれぞれの葉数平均
葉数は、最初は同じように成長していたが、日がたつにつれ、トレイとポットに少しずつ差が開いてきた。
育苗トレイの方は、黒ポリポットに比べて縦では無く、横に広がって成長していたので、葉数の平均が大きいのかなと思う。
3本実験での根域調査
9月25日に播種した生育状況を確認すべく、根の状況についても確認することとした。
確認した根域についての各状況は表のとおりとなった。
育苗トレイ 黒ポリポット
根域 9.6 cm 11.4cm
表4:根域の平均
育苗トレイ 黒ポリポット
根域 2.5cm 4cm
表 5:令和元年根域の平均
令和元年の記録と比較してみると、育苗トレイも黒ポリポットのどちらも今年度方が長く、令和元年の方は、育苗トレイ黒ポリポットともに短い。
考察(実績:結果及び考察)
育苗トレイ
●草丈、葉数ともに、鉢替えしたのが 11 月ということもあり、気温調節が難しく、あまりいい変化は見られなかった。
●収穫の際に、根っこ同士で絡まっていて、調査しにくかったため、次回やるのであれば、播種する際の間隔を開ける。
ポット
●育苗トレイと同じように、草丈や葉数の成長の個体差も大きかった。
●成長の変化を見るため、トレイにポットを入れる際に、一個一個間隔をあけて入れたものと、隙間無く詰めて入れてものと分けて作ったが、間隔を開けた物は均等に育ったが、隙間無くおいたものは、中央の成長が大きかった。 - 今後の課題
- 今回の反省
まず今回の反省としては、次のようなことが挙げられる。
●赤い印をつけなかったのと理解不足で、きちんとした結果を調査できなかった。
●病害虫に気が付かずに被害が拡大してしまった。
●トレイ、ポットともに成長差があり、差が大きいのは日当たりが原因と考えられる。置く位置によっては、あまり成長しない試験区などがあった。
●新型コロナ感染症のため、昨年と比較を行いたかったが、同時時期に播種ができなかった。
まとめ
生育調査をしたものの、慣れていないので難しく、個体差や、病害虫などの対策がとれなかった。
個人の反省
●最初の調査で病害虫にやられてしまい調査が失敗した。
●育苗トレイやポットは生育の差が大きかった。
●収穫調査の際に個体差があった。
●生育調査をしたものの結果は同じにならず個体差がありすぎたため期待できる結果ではなかった。
●草丈の測り方が分からずちゃんとした記録がとれなかった。
●病害虫が発生した時にちゃんとした対応が出来なかった。
●生育の差がそれぞれ違っていた。
●育苗トレイと黒ポリポットでの根域の差が大きかった。 - その他
- 課題研究発表会時の質問と回答について
●どのような草丈、葉数、根域での個体差の変化はみられたのか?
→日当たりです。トレイやポットを並べたときに、真ん中の方に置かれていたトレイやポットなどの生育がよかったので、そう思いました。
発表会終了後の文献調査では、以下の回答となる。
生育温度が平均気温20°C以上が生育の目安となる。
●切り花として販売するなら、トレイとポットのどちらがよいか。
→ポットの方です。蕾や花が咲いた数などを比べた際に、トレイよりもポットの方がよかったからです。
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